離婚公正証書について

協議離婚に伴う公正証書を一般的に離婚公正証書といいますが、正確な名称は、「離婚給付等契約公正証書(又は離婚給付契約公正証書)」といいます。

主たる目的は、離婚給付(養育費、慰謝料、財産分与)に関する合意内容、親権、面会交流に関する合意内容を定めることにあります。

公正証書とは

公正証書とは、法務大臣から任命された公証役場の公証人が法律(公証人法)に沿い作成する文書のことです。簡単に申し上げますと、国からお墨付きを与えられた文書が公正証書と認識しておいてください。

公正証書の種類は、多岐にわたります。法律上、有効な内容の契約書や遺言書等は、理論上、全て公正証書にすることが可能です。

離婚の公正証書でできる事

離婚公正証書は、裁判判決と同等の法的拘束力を持ちます。そして、強制執行認諾条項付の離婚公正証書を作成することにより、給与差押え、銀行口座差押えが行えるため、債権者にとっては、債権の確保に役立ちます。
また、離婚公正証書には、お金のこと以外の約束事、合意内容を書くことができるため、言った言わないの紛争を防止することができます。

離婚協議書と離婚公正証書の違い

中には離婚協議書でも良いと考えている人もいるかもしれません。しかし離婚協議書では強制執行することはできません。

離婚協議書と離婚公正証書の違いをしっかり確認しておきましょう。

離婚協議書離婚公正証書
作成期間最短1日数日〜数週間※
法的効力
作成者本人、行政書士、弁護士公証人
条項、文言の厳格性
強制執行の可否不可
紛失時再交付不可能再交付可能

離婚公正証書における効果

離婚公正証書を作成し、【債権債務の不存在】の条項を設けることにより、離婚における互いの権利(債権)、義務(債務)が確定したことになります。一例を申し上げますと、離婚公正証書において、夫から妻に対し、離婚の慰謝料として200万円の支払を約束した場合には、妻の200万円を受取る権利、夫の200万円を支払う義務が確定するわけです。離婚公正証書における合意は、一部例外を除き、後から覆すことはできません。
つまり、離婚公正証書を作成するということは、離婚問題を解決した証明になるわけです。
このように離婚公正証書を作成する効果は、非常に大きいため、離婚公正証書の作成が欠かせないといえます。

有効期限

離婚公正証書の作成を行いますと、離婚公正証書の原本は、法務局に20年間保管されることになります。このご説明を行いますと、離婚公正証書の有効期限が20年間と思われるかもしれませんが、ご安心ください。
離婚公正証書に有効期限はありません。

最終的には強制執行ができる

離婚公正証書を作成する最大のメリットは、債務不履行の際に債権者が強制執行を行えることにあります。慰謝料、養育費等の支払が滞りましたら、債務者の給与差押え、銀行口座の差押えなどが行えます。

離婚公正証書を作成する5つのメリット

離婚公正証書を作成することで、たくさんのメリットがあります。それぞれ解説します。

メリット1:約束違反(契約不履行)の防止

離婚協議書と共通するメリットです。離婚の際の約束を守らせるため、契約書の存在が重要です。口約束は、トラブルを招く可能性が極めて高いです。特に離婚の際の合意は、人生を左右しかねない非常に重要な約束のため、離婚公正証書の作成が欠かせません。

メリット2:認識齟齬・食い違いの防止

この点も、離婚協議書と共通するメリットです。夫婦間の話し合いにより、円満に離婚条件を決められたとしても、お互いの認識が異なりますとトラブルを招きます。離婚公正証書の存在が、齟齬(食い違い)の防止に役立ちます。

メリット3:内容不備、見落としの防止

この点も、離婚協議書と共通するメリットです。約束の内容を書面化することにより、契約の不備、見落としの発見が容易になります。つまり、離婚公正証書の存在が、チェックシートの役割を果たします。

メリット4:内容不備、見落としの防止

離婚公正証書のメリットです。離婚公正証書の原本が公証役場に保管されるため、偽造を疑われる心配がありません。

メリット5:強制執行・債権差し押さえ

離婚公正証書の最大のメリットです。債権者の方は、債務者の会社の給料、銀行口座等の差押えが可能になります。

離婚公正証書作成時の必要書類

離婚公正証書を作成するときにご準備いただく本人確認に必要な身分証明書及び必要書類等をご案内いたします。

本人確認に必要な身分証明書

下記のいずれかが必要になってきます。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 住民基本台帳カード
  • パスポート&最新の住民票
  • 印鑑登録証明書

戸籍事項証明書(戸籍謄本)

原則、戸籍事項証明書(戸籍謄本)のデータ又はコピーが必要です。但し、公証役場により求められないこともあります。

取得場所

本籍地を管轄する市(区)役所、町村役場、出張所

取得費用

数百円(自治体により異なる)
(例)
450円(新宿区の場合)
350円(青梅市の場合)

使用目的

現在の戸籍の確認、子の氏名、生年月日の確認

行政書士
鷹取 雄一

本籍地が遠方の場合は、郵送申請を行えますが、一週間程度の日数を要するため、早めにご手配ください。

本籍地が遠方の場合は、郵送申請を行えますが、一週間程度の日数を要するため、早めにご手配ください。

自動車検査証(車検証)

自動車やバイクの所有権移転の条項を設ける場合、自動車検査証(車検証)の画像又はコピーが必要になります。

使用目的

車両番号、車体番号、使用者、所有者等の確認

保険証券

生命保険、学資保険、損害賠償保険等の保険に関する条項を設ける場合には、保険証券の画像又はコピーが必要になります。

使用目的

証券番号、保険契約者等の確認

印鑑登録証明書

代理人を使用する場合(ご本人が公証役場に行かない場合)は、必ず印鑑登録証明書が必要になります。
海外在住の場合は、サイン証明書により代替可能です。

取得場所

市役所、区役所、町役場、村役場、役所(役場)の出張所
コンビニエンスストアのキオスク端末(マイナンバーカードの保有者のみ)

取得費用

数百円(自治体により異なる)
(例)
300円(新宿区の場合)
200円(青梅市の場合)

使用目的

実印の証明

アイコン名を入力

印鑑登録証明書の有効期限は、発行後3ヶ月のため、離婚公正証書の内容が決定してから取得してください。

例えば令和3年6月1日(発行日)

令和3年9月1日(有効期限)

委任状

代理人を使用する場合(ご本人が公証役場に行かない場合)は、委任状が必要になります。
ここでは、一般的な委任状の作成方法等をご紹介いたします。

委任状の作成方法

ひな型に倣い、委任状を作成します。日付の記入、住民票住所の記入、署名(氏名の記入)
生年月日の記入を行います。

その後、公正証書の条項(内容)を委任状に添付(ホチキス止め)

最後に署名の横に捨印、契印(割印)の押印を行います。

委任状の雛形はこちらからダウンロードができます。

離婚公正証書の記載事項

離婚公正証書に記載する条項は、契約の目的たる主たる条項、付帯条項(確認条項)、清算条項、強制執行認諾条項の構成となります。
契約の目的たる主たるものは、親権養育費面会交流慰謝料財産分与の条項です。
詳しく解説いたします。

親権

親権者の決定は、離婚の際に必ず行わなくてはいけません。
養育費、面会交流、慰謝料、財産分与は、離婚成立後の協議も行えますが、親権については、離婚成立前に決める必要があります。
親権を決めないことには、離婚を成立させることができません。

親権に関する詳しい解説はコチラ

養育費

養育費は、未成年の子の養育を目的として親権者(監護権者)に対して支払われる費用のことです。
家庭裁判所が採用している養育費算定表を基準に決めるのが一般的です。

面会交流

面会交流は、未成年の子と一緒に暮らせない親が子と交流を図ることです。
毎月1回程度の面会交流を行うような取決めが多いのですが、客観的な基準がないため、大きく揉めてしまうことも珍しくありません。

面会交流に関する詳しい解説はコチラ

慰謝料

慰謝料の発生原因には、様々なものがありますが、離婚時に支払われる場合には、離婚に伴う慰謝料と規定することが多いです。

財産分与

財産分与とは、離婚に伴い夫婦共有財産を分配することです。

財産分与に関する詳しい解説はコチラ

財産分与に関する解説

離婚公正証書のひな型

離婚公正証書のひな型を公開いたします。
未成年の子、有責行為(不法行為)、財産分与の有無により、何の条項を記載するのか変わります。
大別すると次の7パターンに分けられます。

パターン①
 未成年の子/有責行為/財産分与
無 -
の場合に記載が必要な条項
○親権に関する条項
○養育費に関する条項
○面会交流に関する条項
○慰謝料に関する条項
○財産分与に関する条項
○付帯条項(確認条項)
○清算条項
○強制執行認諾条項

パターン
 未成年の子/財産分与
無 有責行為
の場合に記載が必要な条項
○親権・養育費・面会交流に関する条項
○財産分与に関する条項
+付帯条項(確認条項)・清算条項・強制執行認諾条項

パターン
 未成年の子/有責行為
無 財産分与
の場合に記載が必要な条項
○親権に関する条項
○養育費に関する条項
○面会交流に関する条項
○慰謝料に関する条項
○付帯条項(確認条項)
○清算条項
○強制執行認諾条項

パターン
 未成年の子
無 有責行為/財産分与
の場合に記載が必要な条項
○親権に関する条項
○養育費に関する条項
○面会交流に関する条項
○付帯条項(確認条項)
○清算条項
○強制執行認諾条項

パターン
 有責行為/財産分与
無 未成年の子
の場合に記載が必要な条項
○慰謝料に関する条項
○財産分与に関する条項
○付帯条項(確認条項)
○清算条項
○強制執行認諾条項

パターン
 有責行為
無 未成年の子/財産分与
の場合に記載が必要な条項
○慰謝料に関する条項
○付帯条項(確認条項)
○清算条項
○強制執行認諾条項

パターン
 財産分与
無 未成年の子/有責行為
の場合に記載が必要な条項
○財産分与に関する条項
○付帯条項(確認条項)
○清算条項
○強制執行認諾条項

離婚公正証書作成の費用と料金プラン

「公証役場の手数料」と「行政書士事務所の費用」

公証役場について

公証役場とは、公正証書の作成を行える公的な機関で、全国各地に点在しています。都心部に多いのが特徴です。

公証制度とは

公証役場を語る上で、欠かせないのが公証制度です。

公証制度とは、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化,安定化を図ることを目的として、証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度です。

法務省サイトより抜粋

判事、検事、法務事務官等を長く務めた法律実務の経験豊かなものの中から法務大臣が任免するのが公証人です。
そして、公証役場とは、この公証人が執務する事務所のことで、公正証書の作成や定款の認証等が行われます。

離婚公正証書の作成は、全国に点在する公証役場において、手続きを行うことになります。

全国公証役場所在地一覧

東京23区、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、博多市等、人口の密集しているエリアに公証役場が多くあります。更に、都市部の公証役場は、在籍する公証人や事務員の人数が多いです。

公証役場の管轄について

税務署や年金事務所は、住所(事業所)による管轄がありますが、公証役場には管轄がありません。つまり、ご夫婦の住所や所在地に一切関係無く、全国の公証役場を利用することができます

当事務所は平成16年の開業当初から全国対応を実施しておりましたが、それが可能な理由は管轄に縛られないからです。お客様から「○○県○○市にいるのですが、わざわざ東京から来ていただけるのですか?」とご質問を受けることがありますが、「当事務所の近くの公証役場にて手続きが可能なため、○○県○○市に行く必要はありません。」とお答えいたします。

公証人の判断基準について

離婚公正証書の作成手続きは、公証役場に在籍する公証人がご夫婦の合意内容を余すことなく審査(チェック)することになります。

そして、公正証書の契約条項に適切か不適切かの判断を下し、最終的に公証人が離婚公正証書の原稿を作成するのですが、公証人により判断基準が異なるのです。このため、お客様の要望する内容の契約(約束)が公証人に認められないがため、妥協を余儀なくされることが多いのですが、他の公証人に認められる可能性もあるのです。

つまり、公証役場の選択からして非常に重要ということになります。当事務所は、豊富な業務経験に裏打ちされた知識を有しておりますので、公証役場の特徴や傾向を把握しております。

一度公証人に否認された内容の契約(約束)も、公証役場を変更したり契約条項の表現を変更することにより認められる可能性もあります。当事務所は、公証役場を選択するところからサポートが可能です。

公証人の代理人について

直接、公証役場に問い合わせたことがあるお客様なら体験されているかもしれませんが、「ご夫婦一緒に公証役場に来てください。」と言われます。

確かに、離婚公正証書の作成手続きを行う当日は、公証役場の予約日時にご夫婦が公証役場に行かなくてはなりません。

しかし前述のパターンは、最初から最後までお客様自らが離婚公正証書の作成手続きを行うケースです。当事務所にご依頼いただきますと、行政書士が代理人となるため、一回も公証役場に行く必要はありません。

因みに、前述の代理人は、公正証書作成手続きに関する代理人ということです。相手方と交渉する権利を有する弁護士の代理人とは全く異なります。

地域ごとのルール

皆様、離婚公正証書の作成手続きに関し、全国一律のルールが敷かれていると思いますよね。ところが、意外や意外、全国の公証役場には、独自のルールが存在し、全国一律のルールが敷かれていないのです。

この独自のルールは、当事務所はローカルルールと勝手に呼んでいます。補足いたしますが、公証人法に違反するようなローカルルールはありませんし、公証人法に基づく行為は全国一律です。

このローカルルールは、各公証役場の長年の歩みや公証人や事務員の個別の判断から形成された一つの文化といえますので、一概に肯定することも否定することもできませんが、このローカルルールにより公証役場の使い勝手の良さが大きく変わることも事実です。詳細を省きますが、公証役場により違いが表れるローカルルールを挙げました。

  • 公証役場に提出する必要書類
  • 最初の問い合わせから公正証書の作成手続きに至る一連の流れ
  • 代理人の可否
  • 委任状の形式
  • 休日対応
  • 時間外対応
  • 公証人の指名の可否
  • 公証人の途中変更の可否
  • 公正証書の正本謄本の記載
  • 職業欄
  • 公正証書謄本等送達証明申請書の送付の有無

離婚公正証書を作成する上での注意点

離婚公正証書を作成する上で、基本的な注意点を述べます。

妥当な取決内容を確認する

妥当な取決内容を確認する必要があります。それには、早めに専門家(行政書士又は弁護士)にご相談いただくほかありません。
「養育費を支払わない」「面会交流を行わない」というような子の権利を侵害するような合意は、公序良俗に反する合意のため、離婚公正証書に載せられないのですが、このような内容を真剣に検討されているご夫婦が少なくありません。

原則、離婚届の届出を後回し

離婚公正証書を作成に至る直前に離婚届の届出を済ませてしまうご夫婦がいらっしゃいますが、原則、先に離婚公正証書の作成を済ませてください。
何故なら、離婚届の届出を済ませた途端、態度が豹変し、離婚公正証書の作成に協力してくれなくなるケースが少なくないからです。
離婚届の届出は、慎重を期すべきです。

離婚公正証書を作成するのにかかる費用

離婚公正証書を作成するときの費用は、専門家(行政書士又は弁護士)の手数料+公証役場の手数料が必要です。
当然、専門家に依頼しないときには、公証役場の手数料のみということになります。

公正役場での手数料

公証役場の手数料は、目的の価額と証紙の枚数により決まります。
日本公証人連合会のサイトに詳しい説明がありますが、2万~6万円の範囲が多いです。

日本公証人連合会

行政書士に依頼する場合

当事務所の場合には、66,000円(税込)にて承れます。